【モレキュラーインプリンティング法】

 モレキュラーインプリンティング法(MI法)は鋳型重合法(テンプレート重合法ともいわれる)の一種で、認識対象である分子を鋳型として重合反応液中に共存させ、その鋳型分子に選択性のある結合部位をポリマーに構築する方法である。この方法は、基本的に3段階の手順よりなる。

 まず第一段階として、鋳型分子に機能性モノマー(鋳型分子と結合可能な官能基と重合可能なビニル基などをもつ2官能性のモノマー)を共有結合または非共有結合により結合させ、鋳型分子-機能性モノマー複合体を形成させる(図1-a)。第二段階として、鋳型分子-機能性モノマー複合体を含む溶液に、架橋剤と重合開始剤を加え重合反応を行う(図1-b)。その結果、堅固で不溶性のポリマーを生じる。この時、架橋剤は重合反応中に、鋳型分子とポリマー間の相補性を保つのに必要である。第三段階として、鋳型分子はポリマーから抽出・除去され、“特異的結合部位”が形成される(図1-c)。この“特異的結合部位”は、鋳型分子の形状、化学的機能性に対する相補性を有し、ポリマーネットワークの内外に存在する。すなわち、この結合部位は、あたかも認識対象分子の鋳型を取る様にして形成されたもので、結合部位は、機能性モノマー由来の官能基が鋳型分子と結合をつくるのに最適な距離と角度で配置されていると考えられる。このインプリントポリマーに、鋳型分子を共存させると、鋳型分子は優先的に結合する。

 モレキュラーインプリンティング法では、テーラーメイド的、すなわち希望する認識対象分子にあわせてそれを認識するポリマーが一段階で容易に合成でき、原理的にはどのような分子でも認識対象とすることができるという点に特徴がある。このようなテーラーメイド的な分子認識部位を構築するための最も重要なことは、疑いもなく鋳型分子-機能性モノマー複合体の機能性モノマーの配向がそのまま重合中も保存し続けられることであろう。重合後に鋳型分子が取り除かれた時、その部分が鋳型分子特異的な結合部位として機能するかどうかは、この複合体の良し悪しにかかっているといっても過言ではない。重合中に安定でしかも重合後に鋳型分子が除去しやすい系が最適であるが、お互いに相反することであるので、適当な妥協点が最適条件ということになる。これまでの報告では、個々の研究グループはそれぞれにアイデアを凝らした手法で複合体を調製している。大別すると2種類あり、1)可逆的共有結合を利用するもの、および2)非共有結合を利用するものである。詳しくは、参考文献をご覧いただきたい。

[参考文献]

 

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