最近の研究開発動向(Oct. 11, 2017)

(1) 分子インプリンティング(分子の鋳型を取る技術)の新展開 → ポストインプリンティング修飾(PIM)

Novel Bio-inspired Materials Capable of Molecular Recognition, Catalysis, Signal Transduction, and Other Bio-Relevant Functions Prepared by Molecular Imprinting

 標的分子の鋳型を取った分子インプリントポリマーは、天然の抗体と同様、標的分子を選択的に認識可能な材料で、安価・安定に大量生産できることから、高価で不安定な生体材料に替わる材料として注目されている。分子インプリントポリマーをさらに高機能化するための戦略として、タンパク質の生合成の際の翻訳後修飾と同様に、分子の鋳型を取った後、さらに機能性分子で化学修飾するポストインプリンティング修飾(PIM)を行うことで、結合特性の調整、結合情報の可視化、分子認識能のスイッチングなど、従来法では達成できなかった多機能化を達成し、抗体と同等の感度をもつMIPも開発する。

Review Article: Chromatography 2016, 37, 43-64.


Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 13023-13027.
J. Mater. Chem. B 2016, 4, 7138-7145.
ACS Appl. Mater. Interfaces 2014, 6, 20003-20009.
Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 12765-12770.
Chem. Commun. 2014, 50, 1347-1349.
Chem. Commun. 2013, 49, 8450-8452.
J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 8833-8838.
高分子論文集 2016, 73, 19-29.

(2) 分子インプリントナノ材料をベースにしたナノメディシンのための薬物送達システムの開発

Molecularly Imprinted Nanocarriers for Drug Delivery Sysytems

 ナノ材料は、次世代医療のためのナノメディシンとして期待されている。特定のタンパク質を認識する分子インプリントナノ材料を用いて高機能性薬物送達システムを創製し、従来困難であった難治性疾患のためのナノメディシンの開発を開発する。本研究は、材料の設計合成から動物実験に至る広範囲な知識と技術が必要なことから、複数の医学系研究機関と協力して研究を遂行している。

Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56, 7088-7092. [Hot Paper]

(3) 分子インプリントナノ薄膜によるがんマーカータンパク質センシング

Molecularly Imprinted Sensing Materials for Biomarkers

 がんなどの難治性疾患の治療には、疾病の早期発見が重要である。がんパーカータンパク質を認識する分子インプリントポリマー薄膜を創製し、がんの早期診断のための超高感度がんマーカータンパク質センシング材料としての応用を検討する。

Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55,13023-13027.

(4) 人工材料を分子認識素子にしたバイオマーカーセンシングデバイスの開発

Abiotic Materials-Based Sensing Devices

 天然の抗体および高感度高選択的分子インプリント材料を分子認識素子とし用いた超高感度バイオマーカーセンシングデバイスの開発を行う。ここでは、企業と協力して新しいピペットチップ型センシングチップの開発や、他大学と共同でプラズモニックチップ(波長オーダーの周期構造をもつ金属薄膜被覆センサチップ)を用いた増強蛍光によるバイオマーカー超高感度センシングデバイスの開発を行う。

Chem. Commun. 2016, 52, 3883-3886.
Anal. Chem. 2015, 87, 11784-11791.

(5) 細胞イメージングのための分子認識材料の創製

Functional Materials for Molecular Recognition-Based Bioimaging

 特定の細胞を選択的にバイオイメージングするための分子認識材料を開発する。

 

(6) 新たな高分子材料合成法の開発と分子認識材料創製への展開

Novel Polymerization Techniques for Molecular Recognition-BasedFunctional Materials

 後天的架橋法やマイクロ流体デバイスを用いた高分子構成法を開発し、新たな分子インプリント材料の創製に展開する。

Langmuir 2016, 32, 9245-9253.
Langmuir 2015, 31, 4981-4987.
Anal. Chem. 2014, 86, 5587-5594.